レーザー墨出し器とは?

墨出しとは建築物の柱の中心線や床の仕上がり面など、工事の進行に必要な線のことです。もともと墨壺を用いて墨で描いていたので墨出しと呼ばれています。

 

正確な水平垂直の墨出しをしなければ工事は何もできないくらい墨出しは大切な作業なのです。

 

建築現場での墨出し作業イメージ

 

レーザー墨出し器は、この墨出しを数本のレーザー光で水平や垂直をだす精密機械のことです。手作業の墨出しよりも効率よく作業すすことができます。

 

 

レーザー墨出し器の選び方のポイントは?

 

シビアな精度を要求する仕事用か?屋外で使用することが多いか?一人で効率よく使いたいか?などなど、どのような環境でどのように使うかによって、レーザー墨出し器を選ぶ際のポイントは変わってきます。

 

また、レーザー墨出し器の仕様・スペックも様々ですが、検討する際の注意点は5つあります。

 

  1. ラインの数はいくついるか?
  2. 厳しい精度を求めるか?
  3. ラインの色は?
  4. 受光器の必要か?
  5. 自動追尾機能は必要か?

 

以下、一つずつ上記の注意点について確認していきたいと思います。

 

ラインの数

 

まず1番目の「ラインの数」ですが、ご自宅のDIY用なら縦横の2ラインあれば良いかと思います。ご自宅の棚や写真立てを取り付ける程度であればシンプルな2ラインでも大活躍します。

 

一方で、仕事で使うならライン数の違いで作業効率が違ってきます

 

縦は前後左右の4方向、水平360度、そしてレーザー墨出し器の中央下に地墨ポイントを照射されるタイプを使うと便利です。

 

ライン数によって値段が違ってきますので必要なライン数をよく考えて選びましょう。

 

精度

 

レーザー墨出し器には精度の基準規格はありません。各メーカーによって、「????メートルで±????o」という風に記載してあります。

 

水平垂直に加え、直角精度や鉛点精度などもあります。当然高精度になるほど高価になります。

 

また、精度に関わる部分としてラインの太さも重要です。ラインの線が太いと使い難く、高精度な墨出しができない恐れがあります。

 

他にも衝撃や揺れ対策など高額品ほど精度対策が施してあります。

 

ラインの色

 

レーザー墨出し器のライン光には赤色のレーザー光と緑色のレーザー光があります。

 

赤色レーザーが昔からあるタイプで比較的安価ですが、明るい場所では見難いケースがあります。一方で、緑色レーザーは視認性が高く、明るい場所でも見えやすいです。比較的高価ですが最近では価格も手ごろになってきました。

 

ただ緑色レーザーは寒冷地に弱い傾向があるのでメーカー発表の数値を確認して選びましょう。

 

受光器の必要性

 

屋外で使うことが多い方はレーザー墨出し器と共に受光器が必要でしょう。受光器が対応している製品を選ぶことをおすすめします。

 

明るい場所ではレーザーの光が見えにくく作業効率が悪くなります。レーザー受光器はレーザー光が近づくと音がなり、ピタリと合うと光でも知らせてくれます。

 

受光器は後から買い足すこともできますが、墨出し器本体と受光器がそれぞれ対応していないと機能しないので注意が必要です。

 

自動追尾機能

 

自動追尾機能はリモコンを使用して墨出し器をコントロールする機能です。水平方向に回転させたり、ライン光の一部をつけたり消したりできるもで、本体に直接触れなくて済むため精度を落とす恐れがなくなります。

 

また、4の受光器を使う作業を一人でしようとすると、数回本体と受光器を往復しなければなりませんが、自動追尾機能があればその必要はなくなります。

 

自動追尾機能がある機種は高額タイプが多いですが一人作業の方は検討する価値があるかと思います。

 

 

レーザー墨出し器、どれを選べばいいの?

 

用途が限定されている方や、いつもレーザー墨出し器をお使いの方はどれを選べばいいかわかると思いますが、各社多種多様なラインナップで迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?

 

どのレーザー墨出し器を選んだら良いかのイメージ

 

そもそもどのメーカーを選べばいいかわからない方がほとんどだと思います。でも、各メーカーの特徴や、そのメーカーがどういった部分に力を入れているかがわかれば、製品選びがしやすくなるのではないでしょか?

 

そこで次に、各メーカーの特徴についてご紹介したいと思います。

 

 

レーザー墨出し器 各メーカーの特徴は?

 

レーザー墨出し器を選ぶにあたって、スペックだけを比べてみてもなかなか違いが見えないと思いますし、高額な買い物なので納得して選びたいですよね。

 

そこで、パンフレットやホームページはもちろんですが、直接メーカーに電話で問い合わせて特徴は何か、どのようなことろに強みがあるのかを聞いてみました

 

調べたメーカーは次の通りです。(アイウエオ順)

 

  1. シンワ測定
  2. TAJIMA
  3. テクノ販売
  4. 日立
  5. VOICE
  6. ボッシュ(BOSCH)
  7. マキタ
  8. ムラテックKDS
  9. リズム
  10. 山真

 

では1社ずつ紹介していきたいと思います。

 

@シンワ測定

 

シンワ測定公式サイト

https://www.shinwasokutei.co.jp/

 

社名からわかるように「はかるもの」に特化した会社です。金属製の物差しを1971年に作ったところからスタートしたのですが、そのモノづくりの精神は今でも変わっていません。

 

当然レーザー墨出し器も安心して使えるよう考えられています。見やすいレーザーライン光や揺れ対策、防塵防水設計などの基本性能はもちろんですが、他にも至れり尽くせりの仕様になっています。

 

ラインナップのシリーズにもよるのですが、長時間使用する時の為のACアダプターや、三脚に取り付けた際に簡単に水平をだす水平調節三脚アダプターが付属されています。

 

他にも、シンワ測定の光学機器は購入から一年間は有料ではありますが、盗難火災に遭われたら新品を届けてくれます。サポート体制も充実しており、何より電話越しから自社製品に対する自信が伺えました。

 

 

ATAJIMA

 

TAJIMA公式サイト

https://jpn.tajimatool.co.jp/

 

国内トップブランドで、高品質な製品を提供して信頼と実績を積み重ねているメーカーです。

 

”Made in TAJIMA”と言われる品質保証の裏付けは自社工場での生産にあります。

 

さまざまな環境で使われることを想定した11項目の環境テスト。さらに、安定した品質を維持する為、各工程間において繰り返し検査を実施。約50項目の検査を行い全検査に合格した製品だけが出荷されます。

 

精度に関しては徹底した数値管理で、ライン精度を0.01mmまで管理できるようデジタルコリメーターシステムを導入し安定した高精度を実現しています。

 

アフターサービスも万全で製品に関しての専用ダイヤルを設けあらゆる悩みを相談できます。盗難火災保証も対象機種は限られてはいますが少額で対応しています。また、一年間の無償修理は全ラインナップに対応しており、安心保証もブランド価値を高めています。

 

他社とは一線を画すほどの高品質なレーザー墨出し器は圧倒的な信頼を得ています。

 

価格設定は高めですが、TAJIMAが積み重ねてきた実績を考慮すると妥当な価格と言ってもいいのかもしれません。

 

 

Bテクノ販売

 

テクノ販売公式サイト

http://www.team-ltc.co.jp/

 

テクノ販売は2005年創業のレーザー墨出し器、測量器の専門メーカーです。専門メーカーならではのラインナップで用途に合った製品を選ぶとこができます。

 

常に進化しているメーカーですが、特にグリーンの光の質が進化したとのことです。

 

従来のグリーンも赤色光よりは見やすかったですが、よく見るとラインの端が少しバラつきがあるらしく、テクノ販売ではそれを改善し視認性抜群になりました。

 

また、グリーン光のレーザー墨出し器は寒冷地を苦手としますが、寒冷地仕様モデルではマイナス10度から使用できます。

 

安心サポートシステムは、無料一年保証、修理引き取りサービス、代替機無償貸し出し、一年間の盗難・火災保険(保険料はテクノ販売負担)などの充実ぶり。取り扱いのすべての製品を自社で熟練の職人が点検、校正を行なっているのも安心できます。

 

専門メーカーらしくラインナップも豊富で必要なレーザー墨出し器がピンポイントで選べるのも魅力的です。

 

 

CHiKOKI(ハイコーキ)

 

HiKOKI(ハイコーキ)公式サイト

https://www.hikoki-powertools.jp/

 

HiKOKIはもともと日立グループの会社(日立工機)であり日本の電動工具の老舗です。

 

電動工具の守備範囲は広く、プロ用の工具からDIY用まで多種多様な商品ラインナップです。また、長年ノウハウを蓄積しているので細やかな部分にも目が行き届いています。

 

上位機には電子ジンバル式機構を搭載しており、マンションの高層階など揺れに強く安定したライン照射を実際しています。精度を追求する為、ライン微調整機構やゴム足付調節リング、防塵防水設計などの機能が備わっています。

 

1996年国内の電動工具メーカーとして初めて環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」を取得しており、その為省エネにも力を入れており、省エネモードでは約20時間の使用が可能です。

 

また、別売のコードレスUSBアダプタを使用して、日立コードレス蓄電池を電源にすることもできます。その場合はさらに長時間使用が可能となっております。

 

元日立グループ(現在はグループから離脱)なので全国に営業所や支店があり、修理や問い合わせも安心です。

 

購入から一年間は過失以外の修理は無償とのことなので安心です。

 

 

DVOICE

 

VOICE公式サイト

https://voice-laser.com/

 

VOICEはコストパフォーマンス抜群で人気の新進気鋭のメーカーです。特にオンラインショップで大人気となっており、生産が追いつかずに入荷待ちもしばしばあるようです。

 

特徴はなんといっても価格の安さなのですが、人気なのはやはり仕事用として満足できる性能レベルに達しているのが要因でしょう。また、一年間の保証期間後のメンテナンス費用も他社より自信があるとのこと。

 

フルラインの精度調整でも2年目以降も8000円で対応し、長期的安心して使い続けることができます。

 

販売店を通さないメーカー直販の販売形態なので、間のマージンを廃したお得な価格設定が実現できます。もちろんメンテナンスなどの対応もスピーディーです。

 

また、低価格にも関わらず作りは本格的です

 

転倒時に衝撃から守るラバーコーティングや、WEBサイトには記載されていませんが防塵防水設計にもなっています。他にも高性能グリーンダイオード搭載のライン光は明るく、また見やすので視認性が良いです。

 

微調整つまみはユーザーの声をもとに設計を見直し大幅な改善がされています。

 

また、セットで購入できるオートベースを使用すると自動追尾機能付のレーザー墨出し器にアップグレードします。こちらは取り付けも簡単で、全ラインナップに対応しています。

 

コストパフォーマンスに優れるだけでなく、高い機能性を備えたVOICEのレーザー墨出し器。長期的な視点で安心して使い続けることができるので、これから購入するのであれば特におすすめです。

 

 

 

Eボッシュ(BOSCH)

 

ボッシュ電動工具公式サイト

https://www.bosch.co.jp/pt/

 

1886年創業のドイツにある世界的に有名な電動工具メーカー。日立同様プロ向けからDIY用までラインナップしてあります。

 

性能や品質の高さは世界的に定評があり、海外メーカーにも関わらず日本の職人さんにも大変人気があります。

 

電動工具メーカーとして常に最先端の技術を使い商品化してきましたが、レーザー墨出し器も同様で、電子整準方式で振動や揺れに強い安定したラインを照射できます。他にも寒冷地対応の仕様で防塵防水設計で安心して使い続けることができるとのことです。

 

海外メーカーなので取り扱っている販売店が少ないのが残念ではありますが、比較的安価であり品質保証を一年設けているのもあり、レーザー墨出し器も他の電動工具と同様に使われています。

 

外観のデザインもユニークな形で一般的なレーザー墨出し器とは一線を画しています。また、それに加えてコンパクトで持ち運びにも便利になっています。

 

最近ではスマホで照射ラインの選択ができたり、レーザーパワー3段階の調整が可能な製品もでました。低コストで最先端技術を使用したいレーザー墨出し器に興味があるかたにおすすめなメーカーです。

 

 

Fマキタ

 

マキタ公式サイト

https://www.makita.co.jp/

 

日本を代表する電動工具メーカーで、現場では見ないことがないぐらい職人から人気があります。

 

マキタはリチウムイオンバッテリーを使用した電動工具が人気で、レーザー墨出し器でもバッテリーを使用ですます。10.8Vのバッテリーならダイレクトでレーザー墨出し器に差し込むことでき、14.4Vと18Vのバッテリーもアダプターを使い使用することができます。

 

Made in Japan製品で精度にも自信があり、今後も国内生産の商品をどんどん展開するとのことです。また、耐衝撃の作りになっており大幅に故障件数を減らしているとのことです。

 

全国各地にある115カ所ある営業所など国内ネットワークてアフターサービスも充実しているのも安心材料。

 

ラインも細く、細かいモード切り替えもできるので、作業効率を改善するべく考えられた設計になっています。別売りですが100ボルトのACアダプター使用すると長時間使用でも安心して作業できます。

 

国産メーカー希望で現在マキタのリチウムイオンバッテリー使用されている方、また、長時間連続使用される方にはおすすめです。

 

 

GムラテックKDS

 

ムラテックKDS公式サイト

http://www.muratec-kds.jp/

 

電子製造機器の製造販売や修理点検業務を行なっている会社です。保証制度に強みがあり、修理点検は滋賀県のサービスセンターで行っています。

 

大きな特徴は購入してから一年間は一度だけ無料修理してもらえることです。他社でも無料修理はしていますが過失のない場合に限るところがほとんどですが、ムラテックKDSでは、仮に誤って機械を倒してしまった場合でも対応してくれるとのことです。

 

精密機械ですので移動中や僅かな衝撃でも精度の信頼性が悪くなるのがレーザー墨出し器です。こちらではユーザー登録用紙に必要事項を記入して送ると無料修理、調整をしてもらえます。

 

また、同時に盗難補償もしてくれます。メーカーさん曰く最近盗難事件が多くなっているらしいです。

 

こちらの登録補償もユーザー登録用紙の提出と警察への届け出が必要になります。

 

精度に関しては10m/1mmと7m/1mmの2ラインナップがあり、グリーン光の質とラインの細さにも自信があるとのことです。防塵防水設計や寒冷地仕様にも対応しているようなハイスペック製品でも、コストパフォーマンスが優秀なのも好印象です。

 

 

Hリズム →残念ながら2018年9月に廃業されたそうです

 

株式会社リズム公式サイト(Wayback Machine上の記録)

過去のホームページはこちら

 

レーザー墨出し器のパイオニアでロボライン・シリーズは開発・設計・生産及び調整をすべて日本国内で行っております。独自開発で特許取得済みの電子水平センサーとモーター制御により揺れに強い構造になっています。

 

同じく特許取得済みのコーンプリズム方式は光源一つで360度のラインが描けます。この技術によりラインが二本に見える部分がなくなり高精度な照射になります。ちなみに通常フルラインの光源数は8本ありますが、リズムでは3本で照射しています。

 

屋内、屋外を使い分ける為の照射ラインの切り替えがないのも大きな特徴です。この技術は常に明るいラインのままで受光器が使用できスイッチを切り替えることなく業界最長の到達距離を実現しています。

 

作りにも自信があり、アルミとアルミを削り出したプロテクターで小型、軽量、高剛性を実現しています。特許取得のセンサーと技術が強みで、リズムでないと作れないレーザー墨出し器は一度は試してみたくなります。

 

 

I山真製鋸

 

山真製鋸公式サイト

http://yamashinseikyo.com/

 

革新的な会社でユニークな製品をたくさん提供しています。

 

特許出願中の「神風ウェア」や2枚のチュプソーを重ねた木工用チップソー「神業」など技術やアイデアはもちろん、製品名も非常にユニークなものが多いです。

 

レーザー墨出し器にも力を入れており、中でも「エイリアンシリーズ」は山真製鋸の情熱が注がれています。名前の由来は、今まで出会ったことのない異次元の存在。そしてお客様によりインパクトを与えるシリーズの名称として考えられたようです。

 

コストパフォーマンスとハイパフォーマンスを同時に実現し、より便利に、より手軽にレーザー墨出し器の普及を目指しています。まさにエイリアンの名称にふさわしい異次元のシリーズと言えます。

 

特にグリーンエイリアンシリーズのグリーンライン光に自信を持っています。パンフレットには「赤色とは比べものにならない明るさ」と記載してあるぐらいです。

 

他にも、高品質を実現する為、全ての検査工程で最高レベルの品質管理をを行なっています。

 

水平・垂直精度は目視での検査ではなく最新式コンピューター検査機による精度検査を行っています。振動検査システムや温度変化検査システムでも同様に厳しい品質管理を実施して、高品質と高精度を実現しています。

 

他にも防塵防水設計や盗難火災保証付など、まさに異次元レベルです。

 

 

 

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